MBAを学ぶ意義や、失敗の重要性についてとか

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僕は経営大学院でリーダーシップ科目の教壇に立っている。学生たちは、クラスを終えると振り返りをメーリングリストにあげる。そこで、2年ほど前に、とある受講生の振り返りに、僕が思うことを書いた(らしい)。その受講生が、僕の書いた文章を先日、メッセージにコピペして送ってきてくれて。僕の文章を何度も見返していたんだ、と。

僕はそんなことを書いたのは全然覚えていないが、割といいこと書いているので紹介する。
MBAを学ぶことの意義、について。その受講生が、「スキルを上げれば、修羅場を避けて、優れたリーダーになれる。だからMBAを学んでスキルを学ぶ」というようなことを言っていたらしい。それに、僕は真っ向から反対したことを書いたようだ。

以下、その当時の文章。
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「スキルを上げて対応すれば、修羅場を避けて、優れたリーダーになれる」 というところ、そう思われる方は多くいます。普通、そう思いますよね。

でも、現実には、そうはいきません。やっぱり、 「失敗した数だけ、失敗から学んだ分だけ、修羅場を経験した分だけ、リーダーは成長する」 ということです。 単純に、失敗することで、経験値が沢山得られます。 失敗した要因を分析することで、「勝ちへの道」に辿りやすくなります。 みんながあまりチャレンジしない中、チャレンジすれば、誰もが経験しない経験が得られる。 それが成功への道です。 なるべく失敗しないようにやろう、と思うのはいいんです。 「失敗したくないから、チャレンジもやめておこう」というのがダメなのです。 No Challenge, No Successです。

で、もっといえば、チャレンジする、ということは、失敗もありうるけど、やろうね、ということです。 だから、どんどん失敗しようね、ということなんです。

もちろん、失敗しただけではダメ。失敗したら、学ぼうね、ということです。

ご存知の方や、元部下の方(!)もいらっしゃると思いますが、 僕の友人で、グロービス仲間であるノボットの小林さんという方がいます。 彼は、最初の事業で、コーヒーの通販事業をやって失敗しました。次に、スマホ向け広告配信の事業をやり 成功させ、KDDIの子会社に15億円で売却しました。 彼が何故、ノボットで成功したか、というと、コーヒーの通販事業で失敗したことを、全て教訓として 取り入れ、ノボットではその学びを活かしたことが大きい、と言います。

だから、失敗だけしてそのまま、ではなくて、失敗を次に活かす、というのは、当然ながら重要です。

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また、修羅場を経験する、ということは、「自分が何とかしなければ、 大変になる」という局面が、日々、瞬間瞬間で沢山ふってくるわけです。 リスクはある。間違った選択をして、みんなに責められたくない、でも、 意思決定しなければいけない。そこから逃げることもできる。でも、 逃げたら、状況はますます悪くなる。 そこで、冷静に状況を判断し、意思決定をし、実行する。これをやり続けられるか、 ということです。この力は、経験した数だけ、強くなります。

私の経験で言うと、こんな話もあったりします。まあこれは自爆テロ的ですが(汗) こういうことを沢山経験すると、「まあ、何とかなるわ」という自信がついてきます。 その自信が、リーダーとしての信頼感にもつながっていきます。

http://www.globis.jp/530

こうした状況下で、正しい判断ができるようにMBAで学ぶ。これは正解です。 教室でバーチャルでやるのと、リアルの経験は、すごみが全く異なりますが、 ある意味、武道の「型」を学ぶようなことはできるのです。

だからといって、修羅場や失敗を避けることはできない。型を掴んだ後は、 実践で、体に覚え込ませる、というプロセスが不可欠になるのです。 トーマスエジソンは言います。彼は、数限りない失敗をした。でも、 「それは失敗じゃなくて、その方法でうまくいかないことが分かったから、成功なんだよ」と。 成功への道は、失敗することで分かる。その繰り返しで、成功に向かっていく、ということです。

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更に、修羅場、は、自分が避けようと避けなかろうと、やってくるものです。 リーダーには、その時のスタンスが、試される。

修羅場が目前に迫っている。 例えば、会社の基幹システムが止まってしまった!さて、どうする? まず多くの場合、「原因を追求しろ!」とか指令が飛ぶんです。 でも、現場では何が求められているか。お客様からわんわんとお問い合わせが入る。 それに対して、どうするか。このまま、何も市場に対しメッセージを出さないでいいのか。

例えば、重要なお取引先の工場が、洪水で浸水し、大ダメージを起こした。 このままでは、数ヶ月そのお取引先の商品は入ってこない。さて、どうする?

例えば、自分たちの製品で、重大な問題が発生した。このままでは、お客様に迷惑をおかけするばかりか、 マスメディアで騒がれ、レビュテーションリスクになる可能性が大きい。さて、どうする?

その時に、 「おし、やったるぜ!」と立ち向かえるか、 「うーん、できれば避けたいな・・・」と思いながら、でもどうしようもなく、 悩んだ末に、しぶしぶと、そこに入っていくことにするか。 どちらが、いいスタートをきれるか。どちらが、チームを鼓舞できるか。 どちらが、最終的に困難を乗り越えられやすいか。自明ですよね。

もちろん、そうならないような仕組みにしておく、修羅場を修羅場と感じないような 地力を鍛えておく。それは当然、必要です。 ですが、それでも困難はやってくる。その時には、「おっし、やったるわ!」 と瞬間に思い、立ち向かう気合い、スピード、気力が必要なのです。

僕はよく言っているのですが、あんまり困難でない状況では、MBAの力なんてあまり 必要ないんですね。普通の能力では乗り越えることができない困難があるから、 そして、その困難を乗り越えなければならない、その能力を鍛えるために、 MBAで、分析力、思考力、意思決定力を学ぶのです。

だから、修羅場や困難を乗り越えやすくするためにMBAを学ぶとして、 基本的なスタンスとして、そこから逃げるのではいけない。乗り越える、ということです。

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最後に、そもそも、何故、皆さんは、失敗をいやがるのでしょうか。 失敗する、ということは、 周囲に迷惑をかけたり、周囲から責められたり、自分が嫌な思いをしたり、 ということなんだと思います。

まず、自分が嫌な思いをするのは、「失敗して恥ずかしい」「悔しい」ということなので、 じゃあそれを、次の機会に活かせばよい。失敗しなかった時より、確実に大きく活かせばよい。

次に、周囲から責められることについては「ほっとけ!」と。じゃあ自分を登用するな!と 開き直ることです。 周囲に迷惑をかけること。これはどうでしょうか。できれば周囲に迷惑をかけたくない。 この気持ちは分かります。でも、この世の中、お互い様です。

皆さんは、周りで、部下や、自分のチームリーダーが失敗した時に、どんな気持ちになりますか。 おそらく、「常に気分悪いわ!」という方はあまりいないのではないでしょうか。

その人が、チャレンジしなかったり、逃げていたから「それじゃ失敗するよ!」と思うことが多いのでは。

逆に、リーダーとしてのリスクをとり、果敢にチャレンジした 結果うまくいかず、でもその人が他人に責任を負わせず、しっかりと受け止めていたら、 失敗しても、責めることはないですよね。むしろ、守ってあげたくなるもの。

失敗そのものが責められることは、殆どないのです。 だから、他の人に迷惑がかかるようなことがあったとしても、それはお互い様、と割り切るしかないし、 「他の人に迷惑がかかるから、チャレンジしない、結果、失敗もしない」 ということは、表面的にはいいとしても、最終的には、それが仲間のため、会社のためになるのでしょうか、 ということです。

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要するに、「逃げちゃだめ!」ということなんです。 リーダーの役割は、逃げずに、ことにあたることです。 それが一番、大事なことです。

では逃げないためにはどうしたらよいか。 それが、行動からスキルへ、更に、マインドへ、という「氷山モデル」でいえば、 「逃げない心」を作る、ということですね。 そして「逃げない心」を作るために、自分の心と向き合う、ということが大事なんです。 それがこのクラスの課題、ですね。

ここでは、失敗とは何か、修羅場とは何か、みたいな話は特に定義していません。 それは、皆さんの状況や、キャパシティによると思っています。

色んなことがあったとしても、命まではとられんよ、というくらいのことだと思います。
(以上)
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改めて読み返してみると、結構いいこと書いてるよな。長いけど。だからブログにアーカイブ!

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コメント

  1. 板橋和仁 より:

    こんばんは。伊藤さん。
    仕事を見つけたり与えられたりした時、どうやってやるかを考えます。なぜなら失敗したくないからですが、何をしてもうまくいかないのです。
    失敗かなと思っても、失敗とは考えず、そのままにしています。どこで失敗したのかを自分で見つけることが大事だとわかりました。

    1. youichi_itou より:

      おっしゃる通りですね。
      何がうまくいって、何がうまくいかなかったか。
      これに気づけるかどうか、が重要だと思います。

      1. 板橋和仁 より:

        伊藤さん。返信ありがとうございます。

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